2024-08-22 HaiPress
2週にかけて山手七福神巡りを特集。まずは、港区にある3寺に足を運びます。武将・加藤清正を祀る「覚林寺」、国の重要文化財と現代建築が融合した静謐な空間が広がる「瑞聖寺(ずいしょうじ)」、足利尊氏の念持仏と伝わる妙見大菩薩を祀る「妙円寺」をお参りしました。
イラスト:杉崎アチャ
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ビジネスの中心地であり、高級住宅街のイメージも強い港区。なかでも、山手七福神巡りの3寺がある白金台は、江戸時代の大名屋敷街をルーツとする歴史ある高級住宅街です。明治学院大学や聖心女子学院があるアカデミックなエリアでもあり、都心にありながら緑が豊かな街としても有名。国立科学博物館附属自然教育園は約20ヘクタールもの面積を誇る広大な緑地で、地域住民の憩いの場となっています。隣接する東京都庭園美術館は、国の重要文化財に指定されている旧朝香宮邸を保存・活用した美術館です。アール・デコ様式の美しい意匠が、建築好きを魅了しています。
覚林寺の前にある清正公前交差点。清正公の読み方は「きよまさこう」ではなく「せいしょうこう」なので注意。
七福神信仰は室町時代中期から始まり、庶民にその信仰が定着したのは江⼾時代中期。今回ご紹介する山手七福神巡りは、江戸で最初の七福神巡りと伝わり、3代将軍徳川家光が鷹狩りの際、江戸城の裏鬼門にある瀧泉寺(目黒不動尊)に参詣し、その道筋に設置されたルートだと言われています。
社寺が混在することも多い七福神巡りですが、山手七福神巡りは寺院のみで構成されています。妙円寺に二柱の七福神(福禄寿尊と寿老人尊)が祀られているため、6寺を巡れば、すべての七福神にお参りできます。港区(白金台)と目黒区(下目黒)に3寺ずつあり、港区から目黒区の順番で参拝すると無病息災・長寿のご利益が、目黒区から港区の順番で参拝すると商売繫盛のご利益があるのだとか。
「七福神ダルマ」(1体500円)。各寺院の寺務所で入手できます。中におみくじが入っているので運試しにもぴったり。
今では観光の側面も大きくなった寺社巡りですが、寺院も神社も本来は信仰の場。マナーをしっかり守ってお参りしましょう。山手七福神巡りの寺院には、それぞれご本尊が祀られており、七福神にお参りする前にご本尊にお参りするのが望ましいです。国や自治体から文化財に指定されている貴重な歴史的建造物を守るという観点でも、喫煙やごみのポイ捨ては当然NG。ご本尊や七福神がご開帳されていても撮影は不可という場合が多いので、各寺院のルールも確認したいところです。分からないことがあるときは、寺務所の職員さんに質問しましょう。
また、御朱印への対応も寺院によって異なります。持参した御朱印帳に書いてもらえるか、書き置きの朱印紙を受け取るかは、混雑状況や御朱印の種類にもよりますので、参拝当日に寺務所にお問い合わせください。次回は、アップダウンもある山手七福神巡りを効率よく回るためのアクセスルートをご紹介します!
山門と共に港区の有形文化財に指定されている清正公堂。ガラス戸には、加藤清正の家紋「蛇の目」と「桔梗」があしらわれています。
安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将・加藤清正が祀られ、「清正公(せいしょうこう)」とも呼ばれる覚林寺。ご本尊が祀られている本堂は清正公堂に向かって右手に、毘沙門天が祀られている毘沙門堂は清正公堂のほぼ対面にあります。武運の強かった清正公と、災難を除け福徳を授けると言われる毘沙門天にあやかり、近年では受験などの合格祈願に訪れる人も増えているそう。
「御朱印帳」(各1500円)。加藤清正のトレードマークである烏帽子形兜に注目。色違い(朱色)もあります。
職員
目の前の交差点に「清正公前」という名前がついていることからも分かるように、古くから白金の街に根差したお寺です。毎朝、出勤前に必ず手を合わせていくというご近所の方も多いですよ。
参拝客
私の実家は熊本。熊本で信仰の篤い清正公様を祀っているお寺が東京にあると知ったときは驚きました。熊本地震のときは帰省できず、せめてもの思いで何度も覚林寺にお参りしました。以来、私にとって覚林寺は「東京にある地元」のような存在です。
<データ>
住所港区白金台1-1-47
電話03-3441-9379
拝観時間9:00~17:00
次ページに続く。国の重要文化財と現代建築が融合した静謐な空間が広がる「瑞聖寺」、足利尊氏の念持仏と伝わる妙見大菩薩を祀る「妙円寺」をご紹介します。
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