2024-07-06 HaiPress
<東京むかし、いま、みらい都知事選2024>
東京に本格的な高齢化の波が押し寄せている。都の推計では今後30年で高齢者は約80万人増加。2050年には、都民の3人に1人が65歳以上となる。
夕暮れの東京都心(イメージ写真)
1950年の都の高齢者人口は19万8000人、高齢化率は3.2%だった。その後、平均寿命が伸びて1990年に10%を超えたが、それでも地方から若い世代が集まったため都市の力を維持できた。しかし、少子化に歯止めはかからず、1995年に高齢者人口が15歳未満人口を逆転。2010年、高齢化率は20%を超えた。
高齢化の進行は地方よりは遅いものの、今後すさまじい勢いで高齢者が増える。現在320万人いる65歳以上の人口は、2035年に約350万人、2050年には約400万人に達する。
課題は介護や医療の受け皿だ。地価の高い東京では、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設が少なく、人口当たりの定員数は大阪府に次いで2番目に少ない。有料老人ホームなどの施設も2045年までに約10万戸の不足が見込まれる。
東京には多様な就業先があり、介護や看護の人材確保も難しい。都内の全職種の有効求人倍率1.47倍に対し、介護職員は8.53倍(今年6月)。月給は都内の全産業平均より7万~10万円ほど低く、離職率も高い。2030年度の試算では約4万7000人足りなくなる。
都は介護職員に月最大2万円の特別手当を支給するなど待遇改善に取り組むが、高齢者が増えるスピードに介護職員の確保が追いついていないのが実情だ。
東京都立大の杉原陽子教授(高齢者福祉)は「介護人材の不足が進むと、高齢者が希望通りの介護を利用できず、介護離職の増加やヤングケアラーなどの問題も招きかねない。社会的にも生産性の低下、女性の就労阻害、晩婚化や出生率の低下など影響は広範に及ぶ」と指摘。「待遇改善などによって介護職のイメージアップを図り、働きやすい環境をつくることが重要だ」と話す。(岡本太)
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