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新将棋会館を最速リポート! 対局エリア、棋士カプチーノ…あふれる将棋愛 羽生善治会長「新しい総本山に」 

2024-09-08 HaiPress

日本将棋連盟の創立100周年に当たる8日、東京・千駄ケ谷に新しい将棋会館が完成。お披露目式とともに将棋担当記者向けの内覧会が開かれ、記者も参加してきました。洗練された対局室や、ファンにはたまらない道場・カフェ併設店舗「棋(き)の音(ね)」など、見どころが盛りだくさん。普段は月イチでお伝えしている「バン記者・樋口薫の棋界見て歩き」の「盤外編」として、将棋界の新たな「聖地」を一足早くリポートします。

藤井聡太七冠(左から2人目)をはじめ、トップ棋士がずらりと並んだ新将棋会館お披露目式

◆羽生善治会長や藤井聡太七冠らが勢ぞろい

新会館の立地は、現在の将棋会館から徒歩5分ほど。JR千駄ケ谷駅すぐ近くで、東京体育館向かいの通りに面した一等地です。4階建ての「ヒューリック将棋会館千駄ケ谷ビル」1階部分(2500平方メートル)に移転し、10月1日からショップ「棋の音」がオープン。公式戦の対局は来年初めから順次始まります。

お披露目式には、連盟の羽生善治会長(53)をはじめ、藤井聡太七冠(22)や西山朋佳女流三冠(29)らトップ棋士が和服姿で勢ぞろい。羽生会長は「将棋界の総本山として、多くの皆さまに楽しんでもらえる場所にしたい」とあいさつし、テープカットで完成を祝いました。

9月8日に完成した新将棋会館の外観(日本将棋連盟提供)

◆将棋ファンの気持ちがこもる

1976年に建設された現会館の老朽化に伴う新築移転に当たり、連盟は2021年からクラウドファンディング(CF)を実施。延べ約2万9千人から約9億4千万円もの資金が集まりました。「温かいメッセージも多数いただいた。何らかの形で恩返ししたい」と羽生会長。数多くの将棋ファンの気持ちがこもった「みんなの将棋会館」とも言える新施設です。

◆さあ館内へ巨大な銘板には…

いよいよ館内の視察です。入り口を入ってすぐのロビーで、最初に目に付いたのが建設支援の寄付者の巨大な銘板です。ずらりと並ぶ名前の中から探すこと数分。一番小さいサイズですが、記者の名前も見つけることができました。建物の片隅にひっそり掲示されるものかと思っていたので、うれしい驚きでした。

新会館建設の寄付者の名前が並ぶ銘板

◆思わずニヤリあちこちに駒が…

廊下のじゅうたんや天井、壁に駒の形をあしらうなど、内装も意匠が凝らされています。

ふと見ると、トイレの男女や車いすを示すデザインも駒の形になっていて、細部へのこだわりに思わずにやりとしてしまいました。

トイレの案内にも駒の形が使われている

◆いざ対局エリアへ

連盟職員の勤務する事務局エリアを抜け、対局エリアに入ると、報道陣から「おーっ」と声が上がりました。真新しい木の香りに包まれ、厳かな勝負の空間という雰囲気に一変します。

トップ棋士が対局をする特別対局室の入り口

◆特別対局室に芳醇な香りが…

まず格上の棋士の対局が行われる特別対局室(21畳)を見学。入り口に掛けられた表札は、達筆で知られる清水市代女流七段の書とのこと。中に入ると、芳醇(ほうじゅん)な香りを放つ美しい畳に目が行きます。イグサの一大産地である熊本県の生産農家が最高級の畳表を選別し、特別に織られた畳表が使われているそうです。

◆気になる対局室の名称

記者が気になっていたのは、対局室の名称がどう変わるかという点。これは従来ある名称に、新しいものを加えるという形に落ち着きました。

特別対局室に次ぐ対局室として新たに置かれたのが「鍾馗(しょうき)の間」。疫病を払う中国の道教系の神さまに由来する言葉のようです。その隣も新設の「陽響(ひびき)の間」。こちらはファンからの公募で決まりました。

以下は以前からある高尾・棋峰・雲鶴・飛燕(ひえん)・銀沙の間と続きます。

◆いす対局向けの歩月の間

いす対局用に設けられた歩月の間

室内が一新されたのが歩月の間。こちらはいす対局向けに、硬めの畳が敷かれています。これまでは例外的に認められていたいす対局の機会が、今後増えるかもしれません。ほかにも休憩室や棋士室、女流棋士室などが新設され、棋士にとって使い勝手が良くなった印象です。

◆扇子、マグカップ…将棋グッズが並ぶ「棋の音」

一般ファンが立ち寄れる「棋の音」には扇子や書籍、マグカップなど多数の将棋グッズが並びます。CFでも大人気だった画家ヒグチユウコさんとのコラボで、新たに生まれたグッズは人気が出そう。道場は午前10時~午後9時までに営業時間を拡大し、将棋盤が新調されました。大盤解説会などのイベントも引き続き開催されるそうです。

一般ファンも訪れることができるショップ「棋の音」

◆「康光ブレンド珈琲」は美味でした

カフェが併設されているのも助かります。コーヒー好きとして知られる佐藤康光九段(54)が何度も試飲して完成したという「康光ブレンド珈琲(コーヒー)」が報道陣に提供されました。佐藤九段の棋風にならって「野性味」が感じられるタンザニアベースのブレンドとのことですが、とてもおいしかったです。ラテアートで棋士の顔がプリントされた「棋士カプチーノ」も提供される予定です。

カフェでは棋士監修のコーヒーや、棋士のラテアート、食事などが楽しめる

「棋の音」はファンはもちろん、あまり将棋を知らない人が訪れても楽しめそうな空間だと感じました。対局室は一般人は入れませんが、羽生会長は「土日など対局のない日にはイベントも可能では」と語っており、見学会の開催も期待できそうです。将棋愛の詰まった新会館に、ぜひ皆さんも足を運んでみてください。(樋口薫)

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